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「パパなら皮肉ってもいい」風潮は未だに存在?
今回のコラボ商品が炎上した、もっとも根幹にあるのは「男女の役割分担」に対して、社会の目が鋭くなっている点だ。つい先日も、大正製薬「リポビタンD」の広告が、女性イメージキャラクターの写真に「仕事、育児、家事。3人自分が欲しくないですか?」とのキャッチコピーを添えたことにより話題となったばかりだ。
なかでも「育児は女性のもの」といった固定観念のもとでの発言は、すぐさま問題視されるご時世と言える。とくにバースデイは、育児まわりの業種だからこそ、より「燃えやすい題材」であると気づけたはずなのだ。
それでもなお、今回のような商品が出たのか。その背景には「パパなら皮肉ってもいい」という風潮が、一部存在していることがある。筆者が過去の炎上事例で思い出したのが、「牛乳石鹸」のウェブCMだ。
2017年に公開された動画で、親子3人暮らしの夫を主人公にしている。息子の誕生日でケーキとプレゼントを買った主人公だが、会社の後輩をなぐさめるため、飲みに連れていくことに。帰宅した主人公に、妻は「なんで飲んで帰ってくるかな」。そして主人公は入浴し、妻に謝罪する——。
このドラマ仕立てのCMには、「そもそも意味がわからない」といった声に加えて、作中で描かれた「父親像」への違和感も指摘された。あれから7年がたったが、いまなお「父親は家庭をおろそかにする」といったステレオタイプは残っているのではないか。
昔と比べると、今の時代は「協力的なパパ」が増えているはずだが、広告表現などインパクト重視の世界では、まだまだイメージは変わっていないと考えられる。
比較的、迅速な対応ではあった
しまむらグループは、SNS時代を背景に成長してきたからこそ、炎上は避けなくてはならなかったし、そのセンサーを持っておくべきだった。Xで多く言及されていた「なぜ企画が通ったのか」といった疑問は、筆者も同感だ。アパレル業界屈指の大企業で、このような企画が通ってしまうことに、強い違和感を覚えてしまう。
とはいえ、発売翌日に中止を決めたのは、全国展開するチェーン店としては比較的迅速だったと言える。バースデイは324店舗(2024年2月期末)を展開しており、各商品を店頭から回収するとなると、かなりの労力と損失が発生するだろう。