賃金不払が疑われる事業場に対する監督指導結果(令和5年)より
【厚生労働省「賃金不払が疑われる事業場に対する監督指導結果(令和5年)を公表します」】
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_41907.html
◆監督指導結果のポイント
1 令和5年に全国の労働基準監督署で取り扱った賃金不払事案の件数、対象労働者数及び金額は以下のとおり。
(1) 件 数 21,349件(前年比818件増)
(2) 対象労働者数 181,903人(同2,260人増)
(3) 金 額 101億9,353万円(同19億2,963万円減)
2 労働基準監督署が取り扱った賃金不払事案(上記1)のうち、令和5年中に、労働基準監督署の指導により使用者が賃金を支払い、解決されたものの状況は以下のとおり。
(1) 件 数 20,845件(97.6%)
(2) 対象労働者数 174,809人(96.1%)
(3) 金 額 92億7,506万円(91.0%)
◆賃金不払いと監督指導の事例(業種:飲食業)
1 事案の概要
・労働時間は、勤怠システムにより管理を行っているが、当該システムに搭載された端数処理機能を用いて、日ごとの始業・終業時刻のうち15分未満は切り捨て、休憩時間のうち15分未満は15分に切り上げる処理が行われていた。
・また、着用が義務付けられている制服への着替えの時間を、労働時間としていなかった。
2 労働基準監督署の指導
・労働時間を適正に把握するための具体的方策を検討・実施すること。
・過去に遡って、労働時間の状況について労働者に事実関係の聞き取りを行うなど、実態調査を行い、実際の支払額との差額の割増賃金の支払いが必要になる場合は、追加で支払うこと。
3 その後の事業場の対応
・労働者へのヒアリングを行って、正しい労働時間数を把握し、再計算の上、差額の割増賃金を支払った。
・勤怠システムに搭載された端数処理機能の設定を見直し、始業・終業時刻の切り捨て、休憩時間の切り上げ処理をやめ、1分単位で労働時間を管理することとした。
・制服への着替えの時間を、労働時間とすることとした。