◆教育訓練費用を支出した企業は5割
政府が「人への投資」を進める姿勢を見せるなかで、社員教育にもスポットが当たっているところですが、企業における現況はどのようになっているのでしょうか。
厚生労働省が公表した令和3年度「能力開発基本調査」による企業の教育訓練への費用の支出状況をみると、教育訓練費用(OFF-JT費用や自己啓発支援費用)を支出した企業は50.5%となっています。これは昨年と同水準で、近年低下しています。OFF-JTに支出した費用の労働者1人当たり平均額は1.2万円で、こちらも近年は減少傾向にあるようです。
◆能力開発や人材育成に関して問題があるとする事業所が7割以上
同事業所調査によれば、能力開発や人材育成に関して、何らかの問題があるとする事業所は76.4%に上っています。問題点の内訳としては、「指導する人材が不足している」(60.5%)が最も多く、「人材育成を行う時間がない」(48.2%)、「人材を育成しても辞めてしまう」(44.0%)と続いています。
同調査では、多くの事業所で問題があると感じつつも、対応策がみつからず、企業としても社員教育にあまり積極的ではない様子も読み取ることができます。
◆「職場における学び・学び直し促進ガイドライン」の策定
厚生労働省は、6月に「職場における学び・学び直し促進ガイドライン」を策定・公表しています。社会環境の変化、労働者の職業人生の長期化も踏まえ、労働者の学び・学び直しの重要性が高まっているとして、労使が取り組むべき事項、公的な支援策等を体系的に示しています。
最近では社員のリスキリング(人材の再教育や再開発)についても注目が集まっています。このような社員教育は、社員のモチベーションアップや生産性の向上にも寄与するといわれます。今後企業としても検討課題の一つになっていくでしょう。
【厚生労働省「令和3年度「能力開発基本調査」」】
(https://www.mhlw.go.jp/content/11801500/000953325.pdf)
【厚生労働省「職場における学び・学び直し促進ガイドライン」】
https://www.mhlw.go.jp/content/11801000/000957888.pdf