activity_research_safetycontrol_2025.pdf
日本在外企業協会
「企業の海外安全対策アンケート(隔年)調査」
報道関係各位
一般社団法人日本在外企業協会
企業の海外安全対策アンケート(隔年)調査結果
「戦争・紛争などの脅威に向けて、緊急事態への対応検討が重点課題に
一般社団法人日本在外企業協会は、1992年から2年毎に海外安全対策に関する会員企業の取り組みを継続的に調査。
今回は本年6~8月にかけて実施し、会員企業210社中149社(回答率71%)から回答を得た。
前回調査の2023年は、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行し、業績回復期にあった。
今回の調査では、会員企業の「戦争・紛争」への関心が高まるなか、引き続き海外安全体制を維持・強化し、3分の2の企業で既に緊急退避計画の策定・見直し等、緊急事態への対応検討が進んでいる状況が明らかになった。
(調査結果概要)
(1) 企業の海外安全の組織・体制の整備状況(P3~P6)
@ 日本側(本社等)に、何らかの海外安全組織・危機管理チーム・海外安全担当者を配置している企業が90%を占め、依然高い水準を維持している。兼任担当者に任せる体制から、常設の専任組織・専任担当者を配置する企業が増加している(図1)。
A 派遣者(駐在員)数が多い企業ほど、専任組織・専任担当者を配置している(図2)。
B 専任組織の構築が進むなかでの問題点として、「緊急時の行動計画が明確でない」、「危機管理の明確な方針が定まっていない」を挙げる企業が急増しており、担当者が社内の安全・危機管理意識の温度差への対応に苦心している姿が垣間見られる(図5)。
(2) 海外安全対策マニュアルの整備状況(P7)
@ 「海外安全対策マニュアル」を整備(本社または海外拠点)している企業は75%にのぼり、「作成中・計画中」を含めると、何らかの対応をしている企業の割合は年々増加している(図7)。
A 「海外安全対策マニュアル」への「記載漏れ」や「どこまで詳述するか」を課題に挙げる企業の割合が大幅に増加しており、2023年(前回)よりも一歩進んだ具体的・実務的な検討が進んでいる(図8)。
(3) 海外安全研修の実施状況(P8~P9)
派遣者(駐在員)に加え、帯同する配偶者にも安全研修を行う企業が増えてきた。派遣者(駐在員)数が多い企業ほど、帯同配偶者にも安全研修を実施している(図9、図10)。
(4) 駐在員や帯同家族を国外退避または一時帰国(P9~P10)
@ 87%の企業が、過去に駐在員、帯同家族の国外退避または一時帰国を経験しているが、2023年(前回)と比して、「感染症」に代わり「戦争・紛争」を、その理由に挙げる企業が急増している(図12)。
A 海外での緊急事態が実際に発生した際の課題として「本社との連携」、「安否確認」、「連絡手段確保」が前回より増加した(図13)。
(5) 東アジアの地政学リスクに対処するための緊急退避計画(P11~P12)
※今回の特別質問35%の企業が「作成済み」、33%が「作成中または検討中」と回答し、約3分の2(計68%)の企業が問題として認識していることを示している(図14)。