どこの会社でも年に一度は定期健康診断が行われていることと思いますが、この健康診断について、厚生労働省が検査項目を見直すことを議論します。この秋から検討会を立ち上げて議論し、早ければ2025年度から検査項目を入れ替えて実施するとされています。
◆廃止または変更が指摘されている主な項目
○胸部X線検査
1972年に結核の発見を目的として始まりましたが、現在では結核は減っており、肺炎や肺がんを調べるためにやっています。しかし、X線検査による肺がんの発見は精度が低く、無駄ではないかといわれるようになりました。OECD(経済協力開発機構)も、2019年に「日本の健診は無駄な検査や不要なX線被ばくなどが生じている可能性がある」と指摘しています。胸部X線検査に代わる案としては、被ばく量の少ない胸部CT検査が挙げられており、しかもCT検査だとX線で見つけられないがんも見つけられるとのことです。
○心電図検査
年齢の高い方は不整脈や心筋梗塞の恐れがあるため心電図検査をやったほうがいいかもしれませんが、若い世代では異常が見つかるケースが非常に少ないそうです。今の健康診断はどの世代も同じ心電図検査をやっていますが、年齢を区切ってやったほうが良いといわれています。
○空腹時血糖検査
問題なのはどちらかというと食後の高血糖(隠れ糖尿病)で、放置すると脳卒中や心臓疾患にもなるので、食べた後の血糖値の状態がわかる検査もしたほうが良いといわれています。
◆加えた方が良いと指摘されている主な項目
○骨密度検査
骨粗鬆症になると寝たきりになって認知症にも影響するため、加えるべきだという声が多くあります。
○月経困難症や更年期障害など女性に特化した項目
「女性版骨太の方針2023」にも盛り込まれました。症状に個人差があることから、まずは医師の問診に追加する方法が有力です。
いずれも重要な指摘なので、2025年度といわず速やかに実施してほしいですね。
【内閣府 規制改革推進会議「健康診断項目の合理化等について」】
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/2210_03medical/230424/medical11_0102.pdf