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作成日:2023/05/19
★★ 内閣官房 三位一体の労働市場改革の指針



三位一体の労働市場改革の指針

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/pdf/roudousijou.pdf


令 和 5 年 5 月 1 6 日
新 しい 資本主義実現会議

1.基本的考え方
○ 働き方は大きく変化している。「キャリアは会社から与えられるもの」から「一人ひとりが自らの キャリアを選択する」時代となってきた。職務ごとに要求されるスキルを明らかにすることで、 労働者が自分の意思でリ・スキリングを行え、職務を選択できる制度に移行していくことが重 要である。そうすることにより、内部労働市場と外部労働市場をシームレスにつなげ、社外か らの経験者採用にも門戸を開き、労働者が自らの選択によって、社内・社外共に労働移動で きるようにしていくことが、日本企業と日本経済の更なる成長のためにも急務である。

○ これまでの我が国の賃金水準は、長期にわたり低迷してきた(先進国の1人あたり実質賃金の推 移を見ると、1991 年から 2021 年にかけて、米国は 1.52 倍、英国は 1.51 倍、フランスとドイツは 1.34 倍に 上昇しているのに対して、日本は 1.05 倍)。この間、企業は人に十分な投資を行わず、個人は十分 な自己啓発を行わない状況が継続してきた。

○ GXやDXなどの新たな潮流は、必要とされるスキルや労働需要を大きく変化させる。人生 100 年時代に入り就労期間が長期化する一方で、様々な産業の勃興・衰退のサイクルが短期間 で進む中、誰しもが生涯を通じて新たなスキルの獲得に務める必要がある。他方で、現実に は、働く個人の多くが受け身の姿勢で現在の状況に安住しがちであるとの指摘もある。

○ この問題の背景には、年功賃金制などの戦後に形成された雇用システムがある。職務(ジョ ブ)やこれに要求されるスキルの基準も不明瞭なため、評価・賃金の客観性と透明性が十分 確保されておらず、個人がどう頑張ったら報われるかが分かりにくいため、エンゲージメントが 低いことに加え、転職しにくく、転職したとしても給料アップにつながりにくかった。また、やる 気があっても、スキルアップや学ぶ機会へのアクセスの公平性が十分確保されていない。

○ 人口減少による労働供給制約の中で、こうしたシステムを変革し、希望する個人が、雇用形 態、年齢、性別、障害の有無を問わず、将来の労働市場の状況やその中での働き方の選択 肢を把握しながら、生涯を通じて自らの生き方・働き方を選択でき、自らの意思で、企業内で の昇任・昇給や企業外への転職による処遇改善、更にはスタートアップ等への労働移動機会 の実現のために主体的に学び、報われる社会を作っていく必要がある。

○ 企業側の変革も待ったなしである。企業が人への十分な投資を行っていない間に、諸外国と の賃金格差は拡大し、先進諸国間のみならず、アジアにおける人材獲得競争でも劣後するよ うになっているおそれがある。グローバル市場で競争している業種・企業を中心に、人材獲得 競争の観点からジョブ型の人事制度を導入する企業等も増えつつあるが、そのスピードは十 分ではなく、人的資本こそ企業価値向上の鍵との認識の下、変化への対応を急ぎ、人への投 資を抜本強化する必要がある。

 ○ こうした変革においては、働き手と企業の関係も、対等に「選び、選ばれる」関係へと変化す る。一人ひとりが主役となって、キャリアは会社から与えられるものから、一人ひとりが自らの 意思でキャリアを築き上げる時代へと、官民の連携の下、変えていく必要がある。

○ このため、リ・スキリングによる能力向上支援、個々の企業の実態に応じた職務給の導入、成 長分野への労働移動の円滑化、の三位一体の労働市場改革を行い、客観性、透明性、公平 性が確保される雇用システムへの転換を図ることが急務である。これにより、構造的に賃金 が上昇する仕組みを作っていく。

○ また、構造的賃上げを行っていくためには、我が国の雇用とGDPの7割を占める地方、中小・ 小規模企業の対応も鍵となる。三位一体の労働市場改革と並行して、3月 15 日の政労使の 意見交換でも基本的な合意があったように、「中小・小規模企業の賃上げには労務費の適切 な転嫁を通じた取引適正化が不可欠である」という考え方を社会全体で共有し、賃上げの原 資を確保し、成長と“賃金上昇”の好循環を実現する価格転嫁対策を徹底する必要がある。

○ あわせて、こうした取組と生産性向上支援の取組を通じて、地域の人手不足対策や、働く個 人が安心して暮らすことができる最低賃金の引上げを実現する。

○ これらの改革に、官民を挙げて、大胆に取り組むことを通じて、国際的にも競争力のある労働 市場を作っていく。

2.目標

○ 三位一体の労働市場改革を進めることで、構造的賃上げを通じ、同じ職務であるにもかかわ らず、日本企業と外国企業の間に存在する賃金格差を、国毎の経済事情の差を勘案しつつ、 縮小することを目指す。あわせて、性別、年齢等による賃金格差の解消を目指す。

○ また、我が国の場合、これまでは転職前後の賃金を比較すると、転職後に賃金が減少する傾 向が見られた。内部労働市場と外部労働市場の形成とそのシームレスな接続により、転職に より賃金が増加する者の割合が減少する者の割合を上回ることを目指す。

○ 官民でこれらの進捗状況を確認しつつ、改革の取組を進める。

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