https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20230220_02.html
〜2023年度「賃上げに関するアンケート」調査(第2回)〜
2023年度の春闘で、賃上げを実施予定の企業は80.6%あることがわかった。今年度(2022年度)の実施企業は82.5%で、2年連続で8割台に乗せ、「賃上げ」を実施する企業の割合はコロナ前の水準に戻っている。
規模別では、実施企業は大企業が85.5%なのに対し、中小企業は80.0%で、5.5ポイントの差がついた。産業別でも、賃上げ実施率最大の製造業は85.9%、最小の不動産業は61.6%で、規模や業種によって実施率には大きな差が出た。
賃上げを「実施しない」理由は、中小企業では約6割(58.6%)の企業が「十分に価格転嫁できていない」、
55.6%の企業が「原材料価格の高騰」に言及している。
急激な物価上昇を転嫁できない企業ほど、賃上げに後ろ向きな姿勢にならざるを得ない状況が浮かび上がる。
「賃上げ率」では、連合が2023年度春闘で掲げる「5%以上」の目標を予定する企業は29.2%で、3割に届かなかった。
賃上げの内訳は、「定期昇給」(大企業83.8%、中小企業76.8%)、「ベースアップ」(同55.9%、同49.2%)で、
中小企業は大企業を5ポイント以上下回った。
一方、インフレ手当の支給では、中小企業が17.1%なのに対し、大企業は12.6%で、逆に中小企業が4.5ポイント上回った。
人手不足や物価高への対応で賃上げが注目されているが、中小企業にとって賃金体系の底上げは資金負担が大きく、一時金やインフレ手当などの名目で対応している状況が透けて見える。
コロナ禍や物価高、エネルギー価格上昇など、企業を取り巻く環境は予断を許さないが、業績と賃上げのバランスに苦慮する中小企業は多い。
- ※本調査は2023年2月1日〜8日にインターネットによるアンケート調査を実施。有効回答4,465社を集計、分析した。
賃上げの実態を把握するため、「定期昇給」、「ベースアップ」、「賞与(一時金)」、「新卒者の初任給の増額」、「再雇用者の賃金の増額」を賃上げと定義した。
資本金1億円以上を「大企業」、1億円未満(個人企業等を含む)を「中小企業」と定義した。