無期転換ルールによって無期雇用となった社員の重要な受け皿の1つとして期待されている、勤務地限定正社員や職務限定正社員、労働時間限定正社員のいわゆる「多様な正社員」。
労働政策研究・研修機構が、企業側、労働者側それぞれについて調査を行った結果(2021年実施)が公表されています。企業調査として従業員規模30人以上の全国の民間企業等が5,700社あまり、労働者調査として20歳以上の正社員、契約社員・嘱託、パート・アルバイト、派遣社員が2万人回答しています。
◆多様な正社員がいる企業は18.3%
多様な正社員(勤務地限定・職務限定・労働時間限定)がいる企業は、全体の18.3%となっています。
◆採用方法
企業が多様な正社員を採る方法は、「中途・通年採用」の割合が最も高くなっています。「有期契約労働者からの転換」や「無期転換社員からの転換」によっている企業の割合も約2割あります(複数回答)。
◆トラブル
限定された労働条件の変更について、限定内容に反することや限定区分の変更による配慮などに関してトラブルが生じているようです。内容は、企業側からの区分変更の申入れが拒否された、労働者側からは会社都合で限定内容が変更された、という原因がそれぞれ最も高くなっています。
調査では、限定内容の説明をしていなかったり、限定内容について規定していなかったりした企業で、よりトラブルが多く発生していると報告されています。働き方の多様化への対応のためには、目を通しておいたほうがよい資料です。
なお、無期転換については、労働条件の明示事項の追加等が検討されていますの、今後の動向に注意しておきましょう。
【労働政策研究・研修機構「多様化する労働契約の在り方に関する調査」】
https://www.jil.go.jp/institute/research/2022/224.html