◆貯蓄から投資の時代へ
政府は、企業等に蓄積された325兆円の現預金を、人・スタートアップ・GX・DXといった重要分野への投資につなげ、成長を後押しするとともに、我が国の家計に眠る現預金を投資につなげ、家計の勤労所得に加え金融資産所得も増やしていくことが重要であるとして、「資産所得倍増プラン」を掲げました。そして、以下の7本柱の取組みを一体として推進するとしています。
@ 家計金融資産を貯蓄から投資にシフトさせるNISAの抜本的拡充や恒久化
A 加入可能年齢の引上げなどiDeCo制度の改革
B 消費者に対して中立的で信頼できるアドバイスの提供を促すための仕組みの創設
C 雇用者に対する資産形成の強化
D 安定的な資産形成の重要性を浸透させていくための金融経済教育の充実
E 世界に開かれた国際金融センターの実現
F 顧客本位の業務運営の確保
◆企業による雇用者の資産形成に向けた強化
「資産所得倍増プラン」の柱の1つである「企業による雇用者への資産形成の強化」において、企業は、従業員が資産形成に関するアドバイスを得られるようにしたり、所得水準を上げたり、中小企業においては職場つみたてNISAや企業型確定拠出年金(DC)、iDeCoが広がる取組みを行ったりすることが求められます。
◆金融庁の狙い
「資産所得倍増プラン」に関連して、金融庁は、企業年金の運用について、企業自身も責任を負うように法律で義務付けるとしています(2022.12.5日経新聞)。企業型DCについて運用されない資産放置が約2,600億円あったり、確定給付企業年金(DB)では知識のない担当者が金融機関に任せきりで運用戦略がなかったり等、企業年金の運用に問題があるとして、2023年の通常国会で金融サービス提供法などの改正を目指すとしています。
今後、企業にどのようなことが課せられのか、法改正を含めて動向を追う必要がありそうです。
【厚生労働省社会保障審議会 企業年金・個人年金部会資料「資産所得倍増プラン」】
https://www.mhlw.go.jp/content/10600000/001020919.pdf