作成日:2022/12/21
★★ みずほリサーチ&テクノロジーズ「2023年春闘賃上げ率の見通し」
みずほリサーチ&テクノロジーズ : 2023年春闘賃上げ率の見通し ─ ベアの位置付けに変化の可能性 ─ (mizuho-rt.co.jp)
2023年の春闘については、労働組合の全国組織である日本労働組合総連合会(連合)が5%の賃上げ(うち、ベースアップ相当分3%程度)を目標にすることを決定した。ここ数年連合は目標を4%にしてきたが、足元の物価上昇を踏まえて1%ポイント引き上げた。これに対して経団連も、2023年春闘に向けた経営側の姿勢として物価高を重視し、ベースアップを中心とする賃上げに理解を示している。そこで本稿では、先行きの賃金動向を占う上で重要な2023年春闘賃上げ率の見通しを示したい。
労働需給のひっ迫や物価高は2023年春闘賃上げ率の押し上げ材料に
まず、2023年春闘を取り巻く環境について、企業が賃上げを行う理由を踏まえながら検討してみよう。厚生労働省の調査によれば、企業が賃金決定に当たり重視する要素として最も多く挙げられているのが一貫して「企業の業績」である(図表3)。ただし、時系列的な傾向をみると、「企業の業績」を選択する企業割合が低下する一方で、「労働力の確保・定着」が増えている。労働需給の逼迫を背景に、企業が労働力確保のための賃上げを進めようとする状況が見て取れる。労働需給について、日銀短観の雇用人員判断DIはマイナス(人手不足超)の幅が再び拡大し、コロナ前の水準に近づきつつある。さらに足元では全国旅行支援の開始やインバウンドの回復を受けて、とりわけ宿泊・飲食業等のサービス業の人手不足が目立っており、先行き一層の不足超が見込まれる。
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