◆ハラスメント問題への関心の高まり
令和4年4月から中小企業にもパワハラ防止法が施行され、どの企業でもパワハラ防止措置を講じることが求められるようになりました。このような中、労働者のハラスメントへの意識の高まりもあり、企業では今まで以上に、ハラスメント問題に注意深く取り組むことが必要になっています。
◆ILOによる職場のハラスメント調査
国際労働機関(ILO)は12月5日、職場における暴力とハラスメントについて分析した報告書を発表しました(対象:121の国と地域の15歳以上の被雇用者約7万5,000人)。このような調査が世界規模で行われるのは初めてだそうです。
これによれば、約5人に1人が、身体的、心理的、性的な暴力やハラスメントを経験していることがわかりました。そして、被害者が被害を誰かに打ち明けるケースはわずか半数しかなく、被害を話さない理由として多いのは、「時間の無駄だと思う」「評判が落ちるのが怖い」が挙げられています。また、被害者の5人に3人以上が、職場で暴力やハラスメントを複数回経験、その多くが過去5年以内に被害を受けていると回答しています。
◆世界的にも注目されるハラスメント対策
2019年6月にはILOで、「仕事の世界における暴力とハラスメントの根絶に関する条約」が採択されています。条約は、ハラスメントを直接禁止したり、制裁したりする規定を求めており、現在の日本の法規定にさらなる手当てが必要なものとなっています。
今後は、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)のためのハラスメント根絶という世界の潮流も踏まえて、ますますハラスメント問題への対策が重要となってくるでしょう。
【ILO駐日事務所プレスリリース「職場での暴力・ハラスメント 5人に1人が被害」】
https://www.ilo.org/tokyo/information/pr/WCMS_863288/lang--ja/index.htm